8月、私が「形は揃っている」と自分の記録に書いた場面は11回ありました。そのうち実際に注文を置いたのは、多くて1回です。
残りの10回は入りませんでした。しかも見送った理由は毎回ちゃんとありました。移動平均線の角度がまだ寝ている。少し上に、以前に価格が止まった場所がある。走った本数が多い。どれも口に出せば納得してもらえる理由です。
そして、その理由のほとんどは「入っていいか」を決める理由ではありませんでした。
この記事では、条件には二つの種類があるという話をします。片方は入っていいかを決める条件で、もう片方はどれだけ期待していいかを決める条件です。私はこの二つを混ぜていました。混ぜると何が起きるかを、順番に書きます。

止めた理由は、二つとも本当でした
8月の終わり、AUDJPYで買いの材料が揃いました。
週足は上を向いていました。価格は日足の20日線の上にありました。4時間足は短期線を実体で上に抜けた足を出し、そのあと一度押してまた上げ始めていました。
週足から4時間足まで、移動平均線は短いものが上から順に並んでいました。向きと形の条件は、全部そろっていました。
私は入りませんでした。理由は二つです。日足の20日線の角度がまだ十分に立っていない。そして少し上に、以前に何度か止まった価格がある。
この二つはどちらも事実です。嘘をついて見送ったのではありません。ただし、この二つは「入っていいか」を決める条件ではありませんでした。
「入ったあと、どれだけ期待していいか」を決める条件です。私はそれを、入り口の条件として使っていました。
その後、価格は上に伸びました。私の目測では、損切り幅の5倍から6倍です。
ただ、伸びたのは結果です。あとで、上の節(以前に止まった価格)までの距離を測りました。置くつもりだった損切り幅の2倍より近い場所でした。
今の私のルールでは、置く前に見送る場所です。見送ったこと自体は、正しかったことになります。
問題は、そこへの辿り着き方でした。当時の私は、距離を測っていません。「角度が寝ている」と「上に何かあって近い気がする」を並べて、総合的に止めていました。
測れば1行で済む判断を、材料を積んで出していたのです。このときは、積んだ先がたまたま正しい答えでした。たまたま正しい答えは、次も正しいとは限りません。積んで止めるやり方は、測れば置ける場面も同じ顔で止めてしまいます。

条件には、二つの種類があります
私が注文を置く前に見ているものを、全部並べます。すると二つに分かれます。
一つ目は、それが欠けると型そのものが壊れる条件です。週足がどちらを向いているか。価格が日足の20日線のどちら側にいるか。
押しが一度あって、前の安値を割らずに止まったか。それとも一直線に走ったか。そしてこの場面が、自分の型のどれに当たるか。これが欠けたら、私の型はもう成り立ちません。だから○か×しかありません。
二つ目は、欠けても型は壊れない条件です。線の角度が立っているか寝ているか。同じ方向へ連続して何本のローソクが走ったか。
上に、以前に価格が止まった場所があるか。線どうしの間がどれだけ開いているか。これが欠けても、型は成り立ちます。ただ、期待できる値幅が薄くなるだけです。だから○×ではなく、濃いか薄いかです。
見分け方は一問で済みます。
それが無いと型が壊れるか。それとも期待が薄くなるだけか。
型が壊れるなら、入り口の条件です。薄くなるだけなら、入ったあとの条件です。角度も本数も、上の節(以前に価格が止まった場所)があるかどうかも、全部「薄くなるだけ」の側でした。
ただし上の節までの距離だけは別で、損切り幅の2倍が無ければ置く前に止まります。

薄い理由を積み上げると、○×に化けます
ここが私の失敗の本体です。「角度が悪い」だけなら、私は入っていました。「上に節がある」だけなら、距離を測らないまま入っていました。
ところが二つ三つと並ぶと「総合的に見送り」という言葉が出てきます。一つ一つは薄い条件なのに、積み上げた瞬間に○×の顔をします。期待の濃さを決めるはずの条件が、入る資格を決める条件に化けるのです。
しかもこの化け方には偏りがあります。入っていい理由を出せる条件は、一つしかありません。この場面に自分の型の名前が付くことです。それに対して、入らない理由はいくらでも作れます。
角度と本数と上の節と並びと時間帯と直前の負け。七つでも八つでも並びます。
一つ対八つです。数で負けています。だから何も決めずに眺めていると、見送りのほうへ自然に転がります。私が10回見送ったのは意思が弱かったからではなく、数の差に負けていたからです。

「薄いなら、入らないのが正しいのでは」
こう書くと「期待が薄いと分かっているなら、入らないほうが正しいのでは」という疑問が出てくると思います。答えは「薄いなら入ったうえで握りを短くする」です。
期待が薄いというのは、伸びる値幅が小さいかもしれないということです。入ってはいけないという意味ではありません。だから薄い場面では、いつもより早く利益を確定する。
上の節に届いたら一部を降ろす。角度が寝たままなら、深追いしない。全部、入ったあとにやることです。
つまり、薄い理由の使い道は「見送る」ではなく「短く持つ」でした。
そしてもう一つあります。見送り自体を、自分の手でやらないことにしました。私は1時間足のネックラインの外に、逆指値の注文を置いて立ち去ります。
抜ければ約定して、抜けなければそのまま消えます。見送りは私が決めるのではなく、価格が決めます。私がやるのは、置くか置かないかの一つだけです。そして置くかどうかは、○×の条件だけで決めます。

なぜ簡単な場面で入れず、難しい場面で入るのか
ここまで書いて自分でも不思議に思ったことがあります。全部が揃った簡単な場面で、私は入れませんでした。なのに、条件が半分しか揃っていない難しい場面では入ってしまうことがあります。逆です。
理由を考えて一つ思い当たりました。簡単な場面には、考えることがないのです。見た瞬間に「揃っている」で終わります。考える余地がない。
私は考えることが好きで、考えることを得意だと思っています。なので考える余地のある場面のほうを、無意識に選んでいました。得意なことが、そのまま穴になっていました。
実際、記録にはこう書いてあります。「複雑に考えすぎている部分はあるかもしれない」と。
だから今は、検知器を一つ置いています。入る理由を二つ以上並べ始めたら、赤信号です。これは、難しい場面に手が出てしまう側の話です。簡単な場面は、理由が一つで済みます。
自分の型の名前が付く、それだけです。二つ目の理由が出た時点で、私はもう薄い条件を入り口に持ち込んでいます。そこで止まって、一問だけ自分に聞きます。それが無いと型が壊れるのか、と。
- 週足はどちらを向いているか
- 価格は日足の20日線のどちら側か
- 押しが一度あって、前の安値を割らずに止まったか(一直線なら見送り)
- この場面は自分の型のどれに当たるか
この四つが○なら、置きます。角度と本数と上の節は、置いたあとに使います。ただし、上の節までの距離だけは置く前に測ります。
損切り幅の2倍が無ければ置きません。これは期待の濃さの話ではありません。欠けたら置かない条件なので、○×の側です。AUDJPYで私が抜かしていたのは、この測る一手でした。
次に見送った時、その理由を一つだけ書いてみてください。そしてその横に、その理由が無いと型が壊れるかを○×で書いてください。
上の節までの距離が理由なら、損切り幅の何倍かを数字で書き、2倍未満なら、その見送りは型を守った見送りです(○)。×が並んだ数が、あなたが手放した場面の数です。
×の数が分かったら、メルマガの返信で一行だけ教えてください。返信は全部読んでいます。「全部×だった」の一言でも構いません。私の8月も、書き出せば×が並びます。AUDJPYでは、距離さえ測っていませんでしたから。
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——見送りを、我慢ではなく分類にした話。
——入った1本が負けで終わった日の、そのままの記録です。
入り口で見る四つの条件は、無料の一冊に図解で載せています。


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本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。



