エリオット波動という言葉を、私はそもそも知りませんでした。
1波、2波、3波、4波、5波。上げの後にa、b、c。名前を知ってからも難しそうで、どこかで避けていました。
避けていた理論を理解して分かったのは、波がどの足でも同じ形をしていることです。動いて、休んで、また動く。週足でも日足でも4時間足でも、この形が繰り返されています。
同じ形がどの足にも重なっています。上の足で1つに見える波を下の足で見ると、その中にもまた波がある。なので数え始めると、こんな問いが次々に出てきます。
この上げは3波なのか、それとも1波なのか。
さっき2波だと思って数えたところは、実は1波の途中の小さな戻りだったのではないか。
数え直すたびに、シナリオが変わります。買いだと思っていた形が、数え方ひとつで売りに見えてくる。
番号を当てにいくかぎり、この迷いは終わりません。なので私は、番号を当てにいきません。エリオット波動は使っています。そのうえで5つある波のうち、取る波を1つに決めています。どの足の波を取るかも、先に決めています。
波は数えるほど、答えが増えていきます
先に、いちばん大事なことを書きます。エリオット波動は当てるための地図ではありません。相場が「動いて、休んで、また動く」という当たり前の性質に、番号を振っただけのものです。
番号は、起きたことを整理するのには役に立ちます。けれど、これから何が起きるかを教えてはくれません。数え方で迷うのは、整理の道具を予想の道具として使うからです。
予想に使うと、必ずこうなります。同じチャートを見ても、数え方は何通りもある。しかも、どの数え方も理屈は通ってしまう。
合っているかどうかは、後にならないと分かりません。だから何時間かけても結論が出ないし、出したところで翌日には変わる。
波を数えるほど答えは減るのではなく、増えていきます。
5つの波のうち、私が触るのは1つだけです
私の使い方は、雑です。番号を4つ消しただけ、と言ってもいいくらいです。
推進の1サイクルは、5つの波でできています。上昇なら第1波・第3波・第5波が上へ進む波(推進波)、第2波・第4波が戻る波(修正波)です。私が取るのは、第3波だけです。残りの4つは、基本的に取りません。

理由を1つずつ書きます。
第1波を取らない理由。 第1波は、それまでの流れが終わって新しい流れが始まる最初の一本です。
動き出した時点ではそれが本当に転換なのか、ただの戻りなのか、誰にも分かりません。ここを取るのは、当てにいく行為です。しかも損切りをどこに置けばいいかも決まりません。
第2波・第4波を取らない理由。 戻る波です。上昇の中の下げ、下降の中の上げ。方向は流れと逆になります。私は流れに逆らわないと決めているので、ここは最初から対象外です。
第5波を取らない理由。 最後の一本です。伸びることもありますが途中で失速することも、だましで終わることもある。
何より、終わりが近い。頭と尻尾は、くれてやると決めています。とくに週足が枠の中を往復している時は、5つ目の波をはっきり見送ります。
残るのは、第3波だけでした。
——第1波にだけは、例外があります。年に数えるほどしかない、条件の厳しい形です。それは『流れの変わり目だけは、逆を取る。ただし条件は、ひどく厳しい』に書きました。

なぜ第3波なのか。それは「確定してから走る」波だからです
第3波には、他の波にない性質が1つあります。
第3波が始まる時、第1波と第2波はもう終わっている。 つまり上がって、下がって、それでも前の安値を割らなかったという事実がチャートに残っています。事実が2つ揃った後に、3つ目が始まる。
これは、私が当てにいく必要がないということです。第1波は「起きたこと」、第2波も「起きたこと」。私が賭けているのは、その2つが揃った後に続く動きだけです。
しかも第2波の底が近くにあるので、損切りを置く場所が最初から決まっています。「ここを割ったら、この数え方は間違いだった」という線が引ける。第1波にはこれがありません。
伸びやすいという話をよく聞きますが、私にとって第3波の価値はそこではありません。確定した事実の後に始まる、唯一の波だから取っています。
私が取るのは、4時間足の第3波です
ここまで「第3波」とだけ書いてきました。けれど冒頭で書いたとおり、波の形はどの足にもあります。足を決めないまま第3波と言うと、数え方の迷いが戻ってきます。足が変われば、第3波の場所も変わるからです。
なので、足は先に決めています。私が取るのは、4時間足の第3波です。注文を置くのは1時間足です。
こう聞くと、「では、その第3波が来るのをどう見分けるのか」と思うかもしれません。
答えは、見分けません。
見ているのは、その手前の押し(第2波)が耐えたかどうかだけです。目印は、押しの前にできた安値(下の図の「前の谷」)です。
第1波と第2波が「起きたこと」になるのは、押しが前の安値を割らずに止まった時だけです。損切りの線を引く第2波の底も、この時に決まります。前の安値は耐えたかを見る線で、損切りの線とは別です。
逆に押しが前の安値を割ったら、その形はもう崩れています。崩れた形に注文を置くのは、第3波ではない動きに乗りにいくのと同じです。
だから私は、ここだけは自分の目で確かめます。下の図は、押しが前の谷より高い所で止まって上へ走った4時間足です。

図には120本の平均線も引いてあります。押しが止まりやすい目安として、私もこの線は見ています。ただ、先に見るのは前の安値です。
番号を当てにいかない使い方
実際、「この上げは第3波だ」と確信できる日はほとんど来ません。私にもです。
だから、私は数え方を決めきらないまま注文を出します。順番はこうです。
- 週足で流れの向きを決める(数えない。高値・安値の切り上げ切り下げを見るだけ)
- 日足の流れの中で、4時間足の押し戻しが終わりかけている場所を探し、さらに下の1時間足で逆指値を置く(置き方の手順は『MTF分析で、私が実際に使う足は2つだけです』に書きました)
- 抜ければ乗っている。抜けなければ、何も起きない

大事なのは3番です。数え方が間違っていた場合、注文は約定しません。 第3波だと思ったものが実は第5波の終わりだったなら、価格はネックライン——押しのあと、いちばん近くにできた小さな山のことです——を抜けずに崩れていきます。その時、私は何も持っていません。

置いたまま一度も触られずに終わる注文は、珍しくありません。週末にそれを取り消す時、私は数え直しません。
第3波だと思っていた形が、そうではなかった。それだけの話です。それが分かったのは私が考え直したからではなく、価格がそこまで来なかったからです。
つまり、カウントの正解を私が決めなくていい設計になっています。正しいかどうかは、価格が抜けるかどうかで決まります。
波動の勉強が無駄だったのではありません
誤解のないように書いておきます。
エリオット波動を学んだこと自体は、無駄ではありませんでした。むしろ、これがなければ「いま自分がどこにいるか」を言葉にできませんでした。
動き出しなのか、戻りの最中なのか、それとも終わりかけなのか。 この3つを区別できるようになっただけで、触らなくていい場面が一気に増えました。
理解して分かったのは、どの足でも波は同じ形を繰り返す、ということでした。同じ形が重なっているなら、先の番号は何通りにも読めます。なので私は、波動を未来を当てるためには使いません。
使うのはいま自分がどこにいるかを1行で言うためだけです。「4時間足の第2波が終わりかけ、1時間足はまだ下げの途中」。それが言えれば十分で、その先は罠(逆指値)に任せます。
難しそうだと避けていた理論は、自分の居場所を確かめるための道具でした。
- エリオット波動は当てるための地図ではなく、起きたことを整理する道具
- 波を数えるほど、答えは減るのではなく増えていく
- 取るのは第3波だけ。第1波は賭け、第2波・第4波は逆行、第5波は終わりが近い
- 第3波は、確定した事実の後に始まる唯一の波。損切りを置く場所も最初から決まる
- 取るのは4時間足の第3波。注文は1時間足。確かめるのは、手前の押しが前の安値を割らなかったかだけ
- カウントの正解は、価格が抜けるかどうかで相場が判定してくれる
私の話は、証拠にはなりません。記録を見返す必要もありません。いま、口に出して答えてみてください。「最後に入ったあれは、何波目でしたか」。
答えが出てこなかったなら、下手だったのは数え方ではありません。数えないまま入っていただけです。数え方の勉強を足すより、番号を1つに決めるほうがたぶん早く効きます。
答えられたか、出てこなかったか。その結果を、メールの返信で送ってください。個別のお返事はしていません。でも、全部読んでいます。(受け取っていない方は、下のご案内から。)
次に読む
——第3波そのものではなく、その手前の戻り(第2波)を見る話。実務はこちらが本編です。
——入れ子の四つの足を、一回の取引として上から順に降りていく実況です。
第2波の終わりかけを見つけて、逆指値を置くまで。第3波だけを取るこの型の全体像を、チャート設定込みで無料の一冊に起こしました。


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本記事は私の経験と考え方の共有であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
投資には元本を割り込む損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。



